書く前に決めること|「誰に・何が・どう良いか」の型
まず1文を作る
文章がまとまらない原因は、書く前に「誰に向けた文章か」が決まっていないことです。次の型で、お店の説明を1文にしてみてください。
「(誰に)向けて、(何を)提供し、(どう良いか)のお店です。」
- 美容室:「くせ毛に悩む30〜40代の女性に向けて、乾かすだけでまとまるカットを提供し、朝の支度が楽になる美容室です」
- 居酒屋:「〇〇駅で仕事帰りに一杯の方に向けて、日替わりの魚と地酒を提供し、1人でも気軽に入れる居酒屋です」
- 整体院:「デスクワークで肩や腰がつらい方に向けて、体の使い方から見直す施術を提供し、日常の動きを楽にすることを目指す整体院です」
- 学習塾:「中学生の保護者に向けて、定期テスト対策に絞った個別指導を提供し、学校の成績で結果を出すことを目指す塾です」
- 不動産会社:「〇〇市で初めて家を借りる方に向けて、地元で長く営業してきた担当者が案内し、契約後も相談できる不動産会社です」
この1文が決まれば、キャッチコピーも紹介文もメニュー説明も、ここから枝分かれさせるだけです。
「誰に」を絞る3つの質問
- 今のお客様で、一番多い人はどんな人か(年代・目的・来店のきっかけ)
- 一番喜んでくれた人は、何に喜んでくれたか
- 逆に、来てほしくない(ミスマッチになる)人はどんな人か
「誰でも歓迎」と書くと、誰にも刺さりません。絞っても、他の人が来なくなるわけではありません。
来店前の不安リストを先に作る
初めての人が来店前に感じる不安を、思いつく限り書き出します。「駐車場はあるか」「1人で入れるか」「料金は総額でいくらか」「子連れは大丈夫か」「予約なしで行けるか」「どんな人が対応するか」。文章は、この不安に1つずつ答える形で書くと、自然と役に立つ内容になります。
キャッチコピーの作り方(トップページの最初の1行)
4つの型と例
| 型 | 作り方 | 例 |
|---|---|---|
| 誰向け宣言型 | 「〇〇な方のための〇〇」 | 「くせ毛に悩む方のための、乾かすだけでまとまる美容室」 |
| 悩み解決型 | 「〇〇でお困りなら」+提供するもの | 「デスクワークの肩こりに。体の使い方から見直す整体院」 |
| こだわり具体型 | 具体的な素材・方法・時間 | 「毎朝5時に市場で仕入れる魚と、県内の地酒」 |
| 地域密着型 | 地域名+続けてきた事実 | 「〇〇駅前で20年。地元の家族に選ばれてきた整骨院」 |
型は組み合わせても構いません。「〇〇駅徒歩3分、くせ毛に悩む方のための美容室」のように、地域密着型と誰向け宣言型を合わせると、検索にも人にも伝わりやすくなります。
NGなキャッチコピー
- 抽象語だけ:「心を込めたおもてなし」「あなたらしさを引き出す」(誰でも言える)
- 誇大:「地域で一番」「最高の技術」「どこよりも安い」(根拠を示せない)
- 内輪向け:「〇〇メソッド認定サロン」(初めての人には意味が分からない)
抽象語を使いたくなったら、「具体的には何をしているのか」を1つ足します。「心を込めたおもてなし」なら、「お名前と前回のご注文を覚えてお迎えします」のように書き換えます。
サブコピーで補う
キャッチコピーの下に、地域名・営業情報・行動の案内を1行添えます。「〇〇市〇〇町|駐車場5台|当日予約OK|LINEで予約できます」のような形です。キャッチコピーで興味を持った人が次に知りたい実用情報を、すぐに渡します。
お店紹介文の書き方(300〜500字の5段落構成)
5段落の型
- 誰に・何を(冒頭の1文。最初に作った1文をそのまま使う)
- こだわりと、その理由(なぜそうしているのか)
- お店の人(誰が対応するか、経歴や得意分野)
- 来店前の不安への答え(駐車場・1人利用・子連れ・予約)
- 来店の案内(場所・営業時間・予約方法へのリンク)
例文(美容室)
〇〇駅徒歩3分の美容室〇〇は、くせ毛に悩む30〜40代の女性に向けて、乾かすだけでまとまるカットを提供しています。 髪質に合わせて毛量と長さの「残し方」を変えるカットにこだわっているのは、朝の10分を短くすることが、お客様の毎日を軽くすると考えているからです。 オーナーの〇〇は、都内のサロンで10年勤務したのち、この街で開業しました。くせ毛のカットとダメージの少ないカラーが得意です。 席は3席の小さなお店で、お子様連れの方はベビーカーのまま入れます。当日のご予約も、空きがあればお受けしています。 場所は〇〇通り沿い、〇〇銀行の隣です。ご予約はLINEまたは予約ページからどうぞ。
(例文の人物・年数は架空のものです)
専門用語の噛み砕き方
専門用語は、初めての人にとっては壁です。使うなら、初出のときに「つまり」で1文足します。
| 業種 | 専門用語 | 噛み砕いた言い方 |
|---|---|---|
| 美容室 | 酸熱トリートメント | 髪の内部を補修して、うねりを落ち着かせるトリートメント |
| 整体院 | 骨盤矯正 | 骨盤まわりの筋肉のバランスを整える施術 |
| 飲食店 | 熟成肉 | 一定期間寝かせて、旨みを引き出した肉 |
| 学習塾 | 自立学習型 | 講師が教えるより、自分で解く時間を多く取る方式 |
| 不動産 | 仲介手数料 | 契約が成立したときにお支払いいただく手数料 |
用語を残したい理由が「検索されるから」なら、見出しに用語を使い、本文で噛み砕くと両方を満たせます。
メニュー説明の書き方と、実例(お客様の声・数字)の作り方
メニュー説明の型
メニュー名と価格だけの一覧では、初めての人は選べません。1メニューにつき、次の5つを2〜3文で書きます。
- メニュー名(分かりやすい名前+必要なら正式名)
- 誰向け・どんな悩みに
- 内容(何をするか、何が出てくるか)
- 所要時間と料金(総額。追加料金があるなら明記)
- こんな人におすすめ/こんな人には別のメニューを
例(整体院):「初回カウンセリング+全身調整(60分・〇〇円)。デスクワークで肩や腰がつらい方向けに、まず姿勢と動きを確認してから、全身のバランスを整える施術を行います。強い刺激が苦手な方にも対応しますので、ご相談ください。」
メニューページ全体の設計は「メニュー・料金ページの作り方」で解説しています。
お客様の声は「許可・原文・状況」の3点セット
お客様の声は、次の3つが揃うと信頼されます。
- 許可:本人に掲載の許可を取る(口頭でも可、可能なら記録を残す)
- 原文:言い回しを整えても、内容は変えない。良い部分だけ切り取らない
- 状況:年代・目的・来店のきっかけ(例:「40代女性・くせ毛の相談で来店」)
「最高でした!」だけの声より、「初めての来店で不安だったが、カウンセリングで〇〇を確認してもらえて安心した」のような、状況が分かる声のほうが役に立ちます。
数字は「自分で数えたもの」だけ使う
「創業〇年」「席数」「スタッフ数」「1日の限定数」「駐車場の台数」「駅からの徒歩分数」など、自店で確認できる数字は説得力があります。一方、「満足度〇%」「リピート率〇%」のような数字は、根拠となる調査の方法と時期を書けないなら使わないでください。景品表示法の観点でも、根拠のない数字は問題になり得ます。
誇大表現の避け方と、地域名の自然な入れ方
避けたい表現と言い換え
| 避けたい表現 | 問題点 | 言い換え |
|---|---|---|
| 「地域で一番」「業界トップ」 | 根拠を示せない最上級 | 「〇〇駅前で20年続けてきました」(事実) |
| 「必ず満足」「誰でも〇〇になれる」 | 結果の約束 | 「〇〇を目指して、一人ひとりに合わせます」 |
| 「〇〇が治る」「〇kg痩せる」 | 医療的・身体的効果の断定 | 「〇〇でお困りの方のケアを行います」 |
| 「今だけ半額」(常時表示) | 二重価格・有利誤認のおそれ | 期間と通常価格を明記する |
| 「他店より安い」 | 比較の根拠がない | 「〇〇込みの総額表示です」 |
整体・整骨院・エステ・美容の文脈では、「治る」「改善する」「痩せる」といった効果の断定は避けてください。安全な表現の考え方は「整体・整骨院のホームページで気をつける広告表現」と「クーポン・割引表示の注意点」で解説しています。この記事は法的助言ではありませんので、最終的な判断は専門家や所管官庁の資料で確認してください。
地域名は「場所ごとに1回」自然に
地域名を入れる場所は決まっています。それぞれ1回ずつ、文として自然な形で入れます。
- ページタイトル:「〇〇駅の美容室〇〇|くせ毛カットとダメージレスカラー」
- キャッチコピーまたはサブコピー:「〇〇駅徒歩3分」
- お店紹介文の冒頭:「〇〇駅徒歩3分の美容室〇〇は…」
- アクセスの案内:「〇〇駅〇〇口を出て、〇〇通りを直進」
- お知らせ・ブログ:地域の話題を書くときに
やってはいけないのは、「〇〇市 美容室 〇〇市 カット 〇〇市 カラー」のように、同じ地域名を意味なく並べることです。読む人に不自然で、検索エンジンからも詰め込みと見なされるおそれがあります。地域名の選び方は「地域名×業種キーワードの選び方」で、地域ごとの考え方は「地域別ガイド」で解説しています。
書いたあとの確認チェックリスト
- [ ] 冒頭の1文で「誰に・何が・どう良いか」が分かる
- [ ] 専門用語に「つまり」の1文がある
- [ ] 来店前の不安(駐車場・1人・子連れ・予約・総額)に答えている
- [ ] 最上級・結果の約束・効果の断定・根拠のない数字がない
- [ ] 地域名が場所ごとに1回、自然に入っている
- [ ] スマホで読んで、1段落が長すぎない(3〜4文まで)
- [ ] 家族や常連さんに読んでもらい、「意味が分からない言葉」を聞く
よくある質問
文章はどのくらいの長さが適切ですか?
お店紹介文は300〜500字、メニュー説明は1メニュー2〜3文、キャッチコピーは1行が目安です。長さより「不安に答えているか」を優先してください。
AIに文章を書かせてもいいですか?
下書きとして使うのは有効です。ただし、AIは自店の事実を知らないため、こだわりの理由・数字・お客様の声は必ず自分で入れ、誇大表現や効果の断定がないか確認してください。
敬語はどこまで丁寧にすべきですか?
「です・ます」で十分です。過剰な敬語より、短い文で具体的に書くほうが伝わります。話しかけるように書くと、お店の雰囲気も伝わります。
全ページの文章を書く時間がありません。どこから手をつければいいですか?
トップページの1文(誰に・何が・どう良いか)とキャッチコピー、次にメニュー説明、その次にお店紹介文の順です。アクセスとよくある質問は箇条書きでも成立します。
制作会社に文章を任せることはできますか?
取材や原稿作成をオプションで請け負う制作会社もあります。ただし「誰に・何が・どう良いか」の1文と、こだわりの理由だけはお店側で用意すると、仕上がりが大きく変わります。
まとめ
- 書く前に「(誰に)向けて、(何を)提供し、(どう良いか)のお店です」の1文を作る
- キャッチコピーは「誰向け宣言・悩み解決・こだわり具体・地域密着」の4つの型から。抽象語には具体を1つ足す
- お店紹介文は5段落(誰に何を・こだわりの理由・お店の人・不安への答え・来店案内)で300〜500字
- 専門用語は初出で「つまり」の1文を足す。メニュー説明は誰向け・内容・所要時間と総額・おすすめの人
- お客様の声は許可・原文・状況の3点、数字は自分で数えたものだけ
- 最上級・結果の約束・効果の断定・根拠のない数字は避け、地域名は場所ごとに1回自然に入れる