3つの作り方を5つの軸で比較する

まず全体像です。それぞれに向き不向きがあり、「高いほうが良い」わけでも「無料で十分」なわけでもありません。

自作(WordPress・有料ツール) 無料の作成ツール 制作会社(買い切り・月額)
初期費用 低い(サーバー・ドメイン・テーマ代) ほぼゼロ 買い切りは高め、月額は低い
毎月の費用 低い ゼロ〜低い 買い切りは維持費のみ、月額は定額
店主の手間 大きい(制作+保守) 中くらい 小さい(素材の用意が中心)
集客の設計 自分で学ぶ必要がある 機能に制限がある 会社の力量による
更新のしやすさ 慣れれば自由 簡単だが制限あり 契約の修正範囲による
所有権 自分のもの サービス依存 契約による(要確認)

見落とされがちなのが「店主の手間」です。自作は制作費こそ抑えられますが、作る時間に加えて、公開後の更新・セキュリティ対応・不具合の対処も自分の仕事になります。営業中に対応できるかを、最初に考えてください。時間単価で考える判断基準は「ホームページは自作と依頼どっちがいい?」で詳しく解説しています。

自作する(WordPress・有料の作成ツール)

パソコン作業に抵抗がなく、開店準備中や休業日にまとまった時間が取れる方向けです。

WordPressで作る手順

  1. ドメイン(サイトの住所。例:店名.com)を取得する
  2. レンタルサーバーを契約し、WordPressをインストールする(多くのサーバーに簡単インストール機能があります)
  3. 店舗向けのテーマ(デザインの型)を選び、ロゴ・色・写真を差し替える
  4. トップ・メニュー・アクセス・お店紹介・お問い合わせの5ページを作る
  5. SSL(通信の暗号化。URLがhttpsになる設定)を有効にする
  6. Googleビジネスプロフィールと、サーチコンソール(検索での見られ方を確認する無料ツール)に登録する

ドメインは、店名を短くローマ字にしたものが無難です。一度決めると変えにくいので、地域名を入れるかどうかは移転の可能性も考えて決めてください。

つまずきやすいポイント

  • セキュリティ更新:WordPress本体とプラグイン(追加機能)の更新を怠ると、改ざんの被害に遭うことがあります
  • スマホ表示:パソコンで作って満足し、スマホで文字が小さい・ボタンが押しにくいまま公開してしまう
  • ページタイトル:地域名や業種を入れる設定を知らず、店名だけのタイトルで公開してしまう
  • 写真の重さ:スマホ写真をそのまま載せて、表示が遅くなる

有料の作成ツール(月額課金型のホームページ作成サービス)は、サーバー管理やセキュリティ更新をサービス側がやってくれる分、WordPressより手間が少なく、初心者向きです。そのかわりデザインや機能の自由度、サービスからの引っ越しのしやすさに制限があります。

無料の作成ツールで作る

「まず無料で始めたい」は自然な考え方です。開業直後で資金がない、SNS中心で名刺代わりのページがあればいい、というお店には合理的な選択です。

無料ツールでよくある制限

  • 独自ドメインが使えず、URLにサービス名が入る
  • サービスの広告が表示される
  • ページ数や機能(予約フォーム、解析)に上限がある
  • 検索向けの細かい設定ができない、または有料プラン限定
  • サービスの仕様変更や終了で、作り直しになることがある

無料プランは、「有料プランへの入口」として設計されているのが普通です。使ううちに必要な機能が有料になり、結果として有料ツールや制作会社と変わらない費用になることもあります。落とし穴の詳細は「無料ホームページ作成ツールのデメリット」にまとめています。

無料で始めるなら決めておくこと

無料で始めること自体は問題ありません。ただし、「独自ドメインだけは最初から取る」「半年後に見直す」の2つを決めておいてください。ドメインさえ自分のものなら、後で作り方を変えてもURLと検索の評価を引き継げます。

制作会社に依頼する(買い切り型・月額型)

営業に集中したい、地域名の検索で見つかる設計まで任せたい、というお店向けです。依頼の形は「制作費をまとめて払う買い切り型」と「制作費を抑えて月額で払う月額型」に分かれます。

買い切り型

制作費を最初に払い、公開後はサーバー・ドメイン代と、必要に応じて保守費を払います。サイトのデータは基本的にお店のものになりますが、修正のたびに費用がかかる契約だと、更新が止まりやすいのが弱点です。

月額型

制作・サーバー・保守・修正をまとめた月額料金を払い続ける形です。初期費用を抑えられ、修正を気軽に頼めるのが利点ですが、長く使うほど総額は買い切りを上回りやすく、解約するとサイトが残らない契約も多くあります。最低契約期間と解約時の扱いは、契約前に必ず確認してください。両者の総額の比べ方は「月額制(サブスク)ホームページ制作のメリット・デメリット」で解説しています。

依頼前に用意しておくもの

  • 店舗情報:正式な店名、住所、電話番号、営業時間、定休日
  • 写真:外観・内観・商品・スタッフ(スマホで可)
  • メニュー表と料金(税込)
  • お店の特徴を3つ(例:駅近、個室あり、女性スタッフ)
  • 目的を1つ(例:電話予約を増やす、採用を強化する)

費用の内訳と見積りの読み方は「店舗のホームページ制作費用の相場」にまとめています。

お店のタイプ別のおすすめ

「どれが良いか」は、お店の状況で変わります。判断の目安を表にしました。

お店の状況 おすすめの作り方 理由
自宅サロン・個人教室で、SNSが主な集客 無料または有料の作成ツール まず名刺代わりの1ページで十分。独自ドメインだけ取る
開業直後で資金を残したいが、地域検索で集客したい 月額型の制作会社 初期費用を抑えつつ設計を任せられる。総額と解約条件は確認
パソコンが得意で、休業日に時間が取れる WordPressで自作 費用を抑えながら自由に育てられる
予約や採用まで受け止めたい飲食店・美容室 制作会社(買い切りまたは月額) 導線設計と写真の見せ方で結果が変わる
不動産・学習塾など信頼が決め手の業種 制作会社 会社紹介・実績・説明の質が問い合わせに直結する
複数店舗 制作会社 店舗ごとのページと共通ページの設計が必要

途中で作り方を変えることもできます。ドメインを自分名義で持っていれば、無料ツールから制作会社へ、自作から月額型へと移行してもURLは変わりません。

どの作り方でも外せない「店舗サイトの最低条件」

作り方が何であれ、次の項目が揃っていなければ集客の道具にはなりません。公開前に確認してください。

  • スマホで文字が読め、電話・予約ボタンが親指で押せる
  • トップ・メニュー(料金)・アクセス・お店紹介・お問い合わせの5ページがある
  • 各ページのタイトルに「地域名+業種(またはメニュー)」が入っている
  • 店名・住所・電話番号の表記が、Googleビジネスプロフィールと完全に同じ
  • URLがhttpsで始まっている
  • 写真が実際のお店のもの(フリー素材だけになっていない)
  • 営業時間・定休日・料金が最新である
  • Googleビジネスプロフィールにホームページを登録した

地域名の入れ方は地域によって「県名・市名・駅名」のどれが検索されやすいかが変わります。「地域別ガイド」で、お店の地域の考え方を確認してみてください。

よくある質問

無料の作成ツールで作ったホームページでも集客できますか?

店名検索や紹介で来る人の受け皿にはなります。ただし、独自ドメインや検索向けの設定に制限があるため、「地域名×業種」の検索で新規客を集めたい場合は、有料プランか制作会社への依頼を検討してください。

WordPressは初心者には難しいですか?

インストール自体は簡単ですが、テーマ選び、スマホ表示、セキュリティ更新、ページタイトルの設定など、公開後も学ぶことが続きます。休業日に時間を取れるかどうかで判断してください。

自作から制作会社への切り替えはできますか?

できます。ドメインが自分名義なら、URLを変えずに新しいサイトに差し替えられます。古いサイトの写真や文章もそのまま流用できます。

ホームページはどれくらいの期間で作れますか?

作成ツールなら数日〜数週間、制作会社への依頼は素材が揃っていれば1か月前後が一つの目安です。写真とメニュー表が揃っていないと、どの作り方でも長引きます。

まとめ

  • 作り方は「自作」「無料ツール」「制作会社(買い切り・月額)」の3つ。お金より「店主の時間」で選ぶ
  • 自作は費用が低いが、制作・更新・セキュリティの手間がすべて自分の仕事になる
  • 無料ツールは名刺代わりには十分。独自ドメインだけは最初に取り、半年後に見直す
  • 制作会社は買い切り型と月額型で、総額と解約時の扱いが違う。契約前に確認する
  • どの作り方でも、5ページ・スマホ対応・地域名入りのタイトル・情報の統一は外せない
  • ドメインを自分名義で持っていれば、途中で作り方を変えてもURLと評価を引き継げる
この記事を書いた人:坂部 幸成(さかべ ゆきなり)

株式会社Shamoji 代表/店舗向けホームページ制作「HARE PAGE 店舗」運営

Web制作・運営、広告運用代行、SEO・LLMOコンサルティング、AI活用支援を手がける 株式会社Shamoji(2022年設立)の代表。店舗向けホームページ制作・運用サービス「HARE PAGE 店舗」を企画・運営し、飲食店・美容室・サロン・整体院・不動産会社のサイト制作と地域検索の設計を担当しています。記事の内容は執筆時点の一般的な情報であり、各サービスの最新の仕様・料金は公式情報をご確認ください。