制作会社選びで失敗する5つのパターン

先に、よくある失敗を知っておくと、質問の意味が分かりやすくなります。

失敗パターン 何が起きるか 防ぐための質問
修正のたびに費用がかかる 営業時間の変更やメニュー差し替えに毎回見積り。結果、更新が止まる Q5・Q6
ドメイン・データが業者名義 解約や倒産でURLが使えなくなる、サイトを引っ越せない Q3・Q4
作って終わりで、集客の設計がない 見た目はきれいだが「地域名 × 業種」で見つからない Q8・Q9
契約期間・解約条件を知らなかった 途中でやめたくても違約金や残額請求が発生する Q10
担当者と連絡が取れない 公開後の不具合や修正の依頼先が分からない Q2・Q7

いずれも、契約前の質問で避けられる失敗です。次の10の質問は、この5パターンを防ぐために組み立てています。

見積り前に聞くべき10の質問と、答えの判断基準

質問は「実績・体制」「所有権・データ」「修正・サポート」「集客設計・契約」の4グループに分けています。答えを聞いたら、「良い答え」と「注意する答え」のどちらに近いかで判断してください。

実績・体制について(Q1〜Q2)

Q1. 同じ業種・同じ規模の店舗サイトの実績を、見せてもらえますか?

  • 良い答え:URLを示し、公開後の状況(更新されているか、どんな検索で見つかるか)まで説明できる
  • 注意する答え:大企業や有名ブランドの実績ばかりで、小規模店舗の例がない

Q2. 制作中と公開後の担当者は誰で、連絡手段は何ですか?

  • 良い答え:担当者名と連絡手段(メール・LINE・電話など)、返信の目安が決まっている
  • 注意する答え:営業担当だけで、制作や公開後の窓口が曖昧

所有権・データについて(Q3〜Q4)

Q3. ドメインの契約者(登録者)は、お店の名義になりますか?

  • 良い答え:お店の名義で取得する、または既存のドメインをそのまま使える
  • 注意する答え:「当社で管理します」と言うだけで、名義や解約時の扱いを説明しない

ドメイン(URLの「〇〇.com」の部分)は、お店の看板と同じ資産です。名義がお店にないと、解約時に持ち出せないことがあります。詳しくは「店舗のドメインの決め方」で解説しています。

Q4. 解約したとき、ホームページのデータ(文章・写真・デザイン)はどうなりますか?

  • 良い答え:解約時の扱いが契約書に書かれており、少なくとも文章と写真は手元に残る
  • 注意する答え:「解約したら消えます」または「聞かれたことがない」

月額制のサービスでは、解約後にサイトが公開停止になるのが一般的です。それ自体は仕組みとして自然ですが、「文章と写真の原本は手元に残せるか」「ドメインは持ち出せるか」を確認しておくことが大切です。

修正・サポートについて(Q5〜Q7)

Q5. 公開後、営業時間やメニューの変更は、いくらで、どれくらいの日数で反映されますか?

  • 良い答え:「月額に含まれる」「〇営業日以内」など、費用と日数が明確
  • 注意する答え:「都度お見積り」で目安がない

Q6. 自分で更新できる部分はありますか?

  • 良い答え:お知らせなど、お店側で更新できる範囲と、任せる範囲の線引きがある
  • 注意する答え:すべて業者経由で、簡単な更新にも日数と費用がかかる

Q7. 公開後に不具合や表示崩れが起きたら、誰が、どのように対応しますか?

  • 良い答え:保守の範囲と対応の目安が決まっている
  • 注意する答え:「公開後は別契約」で内容が不明

集客設計・契約について(Q8〜Q10)

Q8. 「地域名 × 業種」の検索で見つかるために、どんな設計をしますか?

  • 良い答え:キーワードの選び方、ページ構成、Googleビジネスプロフィール(Googleマップに表示されるお店の情報)との連携を具体的に説明できる
  • 注意する答え:「SEO対策込み」とだけ言う、または「上位表示します」と断言する

順位を約束する会社には注意してください。検索順位は誰にも保証できないものです。「狙いやすい言葉を選び、見つかる可能性を高める設計をする」という説明が、誠実な答えです。

Q9. 公開後の効果は、どの数字で確認しますか?

  • 良い答え:表示回数、検索された言葉、電話・予約の数など、見るべき数字と報告の有無が決まっている
  • 注意する答え:効果の確認方法に触れない

Q10. 最低契約期間、解約の条件、途中解約時の費用を教えてください。

  • 良い答え:期間、解約の申し出の締め切り、残額の扱いが契約書に明記されている
  • 注意する答え:口頭説明だけ、または「基本的に解約する人はいない」とはぐらかす

10の質問の一覧

No. 質問の要点 確認したい本質
1 同業種・同規模の実績 小さな店舗を理解しているか
2 担当者と連絡手段 公開後も相談できるか
3 ドメインの名義 資産がお店に残るか
4 解約時のデータ 引っ越せるか
5 修正の費用と日数 更新が止まらないか
6 自分で更新できる範囲 運用の自由度
7 不具合時の対応 保守の範囲
8 集客の設計 見つかる仕組みがあるか
9 効果の確認方法 作って終わりにならないか
10 契約期間と解約条件 出口があるか

実績の見方:数より「同業種・同規模・公開後」

「実績〇〇件」という数字は、店舗サイトの良し悪しの判断材料にはなりません。見るべきは次の3点です。

同じ業種・同じ規模の例を、スマホで見る

飲食店なら飲食店、サロンならサロンの例を、自分のスマホで開いてみてください。電話ボタンは押しやすいか、営業時間はすぐ見つかるか、写真は明るいか。お客様と同じ視点で使ってみると、その会社が「店舗のお客様」を理解しているかが分かります。

公開後も更新されているか

実績サイトのお知らせの日付を見てください。公開から時間がたっても更新が続いているなら、運用まで含めて支援できている証拠です。逆に、どの実績も公開直後で止まっているなら、「作って終わり」の可能性があります。

「地域名 × 業種」で検索してみる

実績サイトの地域名と業種で実際に検索し、そのサイトが見つかるかを確かめます。順位は場所や時期で変わるので参考程度ですが、まったく見つからない場合は、集客の設計が弱いかもしれません。

契約形態の違いと、それぞれで確認すること

制作会社の契約形態は、大きく「買い切り」と「月額制」に分かれます。どちらが優れているというより、お店の状況で向き不向きがあります。

形態 費用の考え方 メリット 確認すること
買い切り 制作費を最初に払う。維持費(サーバー・ドメイン・保守)は別 資産として手元に残る。長く使うほど割安になりやすい 修正の費用、保守契約の有無、維持費の内訳
月額制 制作費を抑え、月額に制作・修正・運用を含む形が多い 初期負担が小さく、修正や運用を任せやすい 最低契約期間、解約時の扱い、月額に含まれる範囲

月額制には最低契約期間が設けられていることが多いので、総額で比べてください。たとえば、この記事を運営するHARE PAGE 店舗も、制作費0円・月額50,000円(税別)・最低契約期間6か月の月額制で、修正・変更は月額に含まれる形です。月額制を検討するときは、同じ観点で各社を比較してください。買い切りとの違いは「月額制(サブスク)ホームページ制作のメリット・デメリット」、費用の内訳は「店舗のホームページ制作費用の相場」で詳しく解説しています。

相見積りのコツ:同じ条件で3社、価格以外も比べる

相見積り(複数の会社から見積りを取ること)は、2〜3社で十分です。多すぎると比較に時間がかかり、判断が鈍ります。コツは「同じ条件を伝える」ことと「価格以外の項目を表にする」ことです。

同じ条件を伝えるためのメモ

各社に、次の内容を同じ文面で伝えてください。条件がそろわないと、見積りを比べられません。

  • 業種、店舗数、所在地
  • ページ数の希望(トップ、メニュー、お店紹介、アクセス、予約・問い合わせ、お知らせなど)
  • 見た人にしてほしい行動(電話、ネット予約、LINE)
  • 用意できる素材(写真、ロゴ、文章)と、依頼したい素材
  • 公開希望日と、公開後に自分で更新したい範囲

依頼前に準備しておくものは「店舗ホームページ制作の流れと準備しておくもの」にまとめています。

比較表のテンプレート

比較項目 A社 B社 C社
初期費用・月額・年間総額(2年分)
ドメインの名義
修正の費用と日数
公開後のサポート範囲
集客設計の説明の具体性
最低契約期間・解約条件
担当者の対応の速さ・分かりやすさ

年間総額は、2年分など同じ期間で揃えて比べます。買い切りは維持費を、月額制は月額×期間を合計してください。表が埋まったとき、価格だけで決めるのではなく、「困ったときに相談できるか」「集客の設計があるか」を優先すると、失敗しにくくなります。地域の競合状況によっても必要な設計は変わるので、「地域別ガイド」で自店の地域の考え方も確認しておくと、会社の説明を評価しやすくなります。

よくある質問

制作会社は、地元の会社と全国対応のオンラインの会社、どちらがいいですか?

どちらにも利点があります。地元の会社は対面で相談しやすく、オンラインの会社は選択肢が広がります。大切なのは場所より、10の質問に明確に答えられるかどうかです。

見積りが安すぎる会社は避けるべきですか?

安さ自体が問題ではありません。ただし、修正費・維持費・解約条件を含めた総額で比べ、「何が含まれていないか」を必ず確認してください。安い理由を説明できる会社なら問題ありません。

「上位表示します」と言う会社は信用できますか?

検索順位は誰にも約束できないものなので、断言する会社には注意が必要です。「狙いやすい言葉を選び、見つかる可能性を高める設計をする」と説明する会社のほうが誠実です。

契約前に、契約書は必ず見せてもらうべきですか?

はい。とくに、最低契約期間、解約の締め切り、解約時のドメインとデータの扱い、修正の範囲は、契約書の該当箇所を読んで確認してください。口頭の説明だけで決めないことが大切です。

まとめ

  • 制作会社選びで最も大切なのは「公開後にお店が困らない条件か」。所有権・修正・サポート・集客設計・契約条件の5点
  • 失敗の多くは、契約前の質問で防げる。10の質問を見積り前にそのまま聞く
  • 実績は数より「同業種・同規模・公開後も更新されているか」をスマホで確認する
  • 買い切りと月額制は向き不向き。総額を同じ期間で揃えて比べ、月額制は最低契約期間と解約条件を確認する
  • 相見積りは2〜3社に同じ条件を伝え、価格以外の項目を表にして比べる
この記事を書いた人:坂部 幸成(さかべ ゆきなり)

株式会社Shamoji 代表/店舗向けホームページ制作「HARE PAGE 店舗」運営

Web制作・運営、広告運用代行、SEO・LLMOコンサルティング、AI活用支援を手がける 株式会社Shamoji(2022年設立)の代表。店舗向けホームページ制作・運用サービス「HARE PAGE 店舗」を企画・運営し、飲食店・美容室・サロン・整体院・不動産会社のサイト制作と地域検索の設計を担当しています。記事の内容は執筆時点の一般的な情報であり、各サービスの最新の仕様・料金は公式情報をご確認ください。