不動産会社のホームページに必要なページ一覧

まず全体像です。優先度は、物件数が少ない小規模な仲介会社を想定しています。

ページ 役割 優先度 ポイント
トップ 何の会社で、どのエリアに強いかを3秒で伝える 「〇〇市の賃貸・売買なら」の一文と、問い合わせ導線
物件情報(おすすめ物件) 扱う物件の質と得意分野を見せる 数より鮮度。成約済みは必ず消す
エリア案内 「地域名 × 住みやすさ」の検索の受け皿 ポータルに書けない地元の情報
会社紹介・スタッフ 信頼の裏付け。免許番号、代表の顔、スタッフの人柄 宅建業の免許番号は明記する
来店予約・問い合わせ 行動の受け皿 種類を分け、フォームは最小限に
お客様の声・事例 「この会社に頼んでよかった」の証拠 掲載の許可を得たものだけ
サービス案内(賃貸・売買・管理・売却) 何を頼めるかを整理する 流れと費用の目安を書く
よくある質問 電話で聞かれることを先に答える 初期費用、保証会社、内見の流れなど
アクセス・お知らせ 来店を迷わせない、動いている会社だと伝える 駐車場と道順、月1回の更新

賃貸仲介・売買仲介・管理で変わる部分

賃貸仲介は、物件の鮮度とエリアページの相性が良く、「〇〇駅 一人暮らし」のような検索を受け止めます。売買仲介は、物件そのものより「売却相談」「購入の流れ」「担当者の経験」が問い合わせを左右します。管理会社は、オーナー向けと入居者向けの窓口ページを分けると分かりやすくなります。

物件ページの作り方:物件検索機能は必要か?

ここが最も迷うところです。結論から言うと、「物件数が少なく、更新に時間を割けないなら、検索機能なしの『おすすめ物件』ページで始める」のが現実的です。

判断基準

状況 検索機能の判断
常時掲載できる物件が数十件以上あり、毎日更新できる体制がある 検索機能を入れる価値が高い
物件は少ないが、1件ずつ丁寧に紹介したい 検索機能なしの「おすすめ物件」ページで十分
ポータルに一括入稿する物件管理システムを使っている そのシステムと連動できるかを確認してから判断する
来店してから物件を提案するスタイル 検索機能より、来店予約の導線を優先する
売買・売却相談が中心 検索機能より、売却の流れと担当者紹介を優先する

検索機能は、物件データが古いと逆効果になります。「検索したら成約済みばかりだった」という体験は、会社への信頼を下げます。更新できないなら、入れないほうが良い結果になります。

検索機能なしで成立する「おすすめ物件」ページの作り方

物件数が少ない場合は、次の形で1件ずつ紹介します。ポータルの一覧では伝わらない「担当者の目線」が価値です。

  • 1物件1ページ、または1ページに5〜10件を並べる形にする
  • 写真は外観・室内・水回り・眺望・周辺を含めて10枚以上
  • 担当者のひとこと(「南向きで午後まで明るい」「駅までの道が平坦」など、現地で見た事実)
  • 「この物件について問い合わせる」ボタンを、各物件のすぐ下に置く
  • 成約したら、その日のうちに「成約済み」表示にするか、ページを外す

物件ページに載せる項目と、表示ルール

物件情報の表示には、不動産の広告表示に関する公正競争規約や宅地建物取引業法にもとづくルールがあります。徒歩の所要時間の計算方法、取引態様(仲介・売主など)の明示、免許番号の表示、紹介できない物件を載せる「おとり広告」の禁止などです。ポータルの入稿基準はこうしたルールに沿っているので、自社サイトでも同じ基準で書けば大きく外れません。

ここでの説明は一般論であり、法的助言ではありません。最終的な判断は、業界団体の資料や専門家、所管官庁の資料で確認してください。

エリアページ(地域名×住みやすさ)の価値と作り方

エリアページとは、「〇〇駅周辺の暮らし」「〇〇市〇〇エリアの住みやすさ」のように、地域ごとの生活情報をまとめたページです。自社サイトの中で、最もポータルと差がつく部分です。

なぜエリアページが自社サイトの強みになるか

部屋を探す人は、物件を探す前に「どの街に住むか」で迷っています。「〇〇駅 住みやすさ」「〇〇市 子育て 治安」のような検索は、ポータルの物件一覧では答えられません。地元で日々物件を案内している会社だからこそ書ける、「スーパーはどこが使いやすいか」「夜道は明るいか」「保育園の送迎はしやすいか」といった情報が、その受け皿になります。

エリアページを読んで「この会社は街に詳しい」と感じた人は、問い合わせ先としてその会社を選びやすくなります。これが、エリアページが反響につながる仕組みです。不動産会社の集客全体の考え方は「不動産会社のホームページ集客」で解説しています。

エリアページに入れる項目

項目 書く内容 注意
街の概要 どんな人が住んでいるか、雰囲気、主要な駅・路線 人口などの数字は出典が確かなものだけ
交通 主要駅までの所要時間の目安、バス、自転車での移動のしやすさ 時間は「目安」と明記する
買い物・飲食 スーパー、ドラッグストア、商店街、飲食店の特徴 店名は現存を確認する
子育て・教育 保育園・学校の分布、公園、小児科の有無 制度や空き状況は変わるので断定しない
家賃・価格の傾向 間取り別の傾向を「目安」として 数字は自社の取り扱い実績にもとづく範囲で
担当者の視点 「案内してよく聞かれること」「意外と知られていない良さ」 ここが最大の差別化
このエリアの物件 おすすめ物件へのリンク 成約済みは残さない

書き方の型と例文

各エリアページは、次の型で書くと、検索する人の疑問に順番に答える形になります。

  1. 結論(どんな人に向く街か):「〇〇駅周辺は、都心へ通勤しつつ家賃を抑えたい、一人暮らしの方に選ばれているエリアです」
  2. 交通・買い物・暮らしの事実:担当者が現地で確認した情報を、写真つきで
  3. 向く人・向かない人:「夜遅くまで開いている店が少ないので、深夜帰宅が多い方は駅前寄りの物件がおすすめです」
  4. 担当者のひとこと:「内見の帰りに寄るパン屋さんが、お客様に好評です」
  5. 次の行動:「〇〇駅周辺の物件を見る」「このエリアの相談をする」ボタン

事実にもとづき、誇張せず、良い点も注意点も書くことが、信頼につながります。地域ごとの検索の特徴は「地域別ガイド」も参考にしてください。

来店予約と問い合わせの導線設計

不動産の問い合わせは、「この物件を見たい」「条件で探してほしい」「売却を相談したい」「来店したい」と目的がばらばらです。1つのフォームにまとめると、お客様は書きにくく、会社側も対応に迷います。

問い合わせの種類を分ける

種類 置く場所 フォームの項目
この物件について 各物件ページの直下 物件名(自動入力)、名前、連絡先、希望の連絡方法
条件で探してほしい トップ、エリアページ エリア、間取り、予算、入居時期、名前、連絡先
売却・査定の相談 売却ページ、トップ 物件の種類、所在地、名前、連絡先
来店予約 全ページのボタン 希望日時(第2希望まで)、名前、連絡先、相談内容

フォームは最小限に、返信の目安を書く

項目が多いほど、途中で離脱されます。名前・連絡先・目的の3つを必須にし、残りは任意にします。送信後の画面と自動返信メールには、「営業日の〇時間以内にご連絡します」と返信の目安を書いておくと、待つ側の不安が減ります。

電話とLINEの選択肢も用意してください。部屋探しの相談は、フォームより「まずLINEで気軽に」という方が増えています。導線の設計は「ネット予約を導入するときのポイント」も参考になります。

来店を迷わせないアクセス情報

来店予約の後にお客様が迷わないよう、アクセスページには駅からの道順写真、駐車場の有無と台数、目印になる建物を載せます。書き方は「店舗ホームページのアクセスページの作り方」で解説しています。

ポータルサイトとの連携と役割分担

SUUMO・LIFULL HOME'S・アットホームなどのポータルサイトは、部屋を探す人が最初に訪れる「出会い」の入口として大きな役割があります。自社サイトは、その出会いを「指名」に変える場所です。役割が違うので、両方を組み合わせるのが基本です。

ポータルから自社サイトへ来た人が見るもの

ポータルで物件を見た人の一部は、掲載している会社名で検索し、自社サイトを訪れます。そこで見ているのは、「どんな会社か」「担当者はどんな人か」「口コミはどうか」です。つまり、自社サイトで最も見られるのは物件ではなく、会社紹介・スタッフ紹介・お客様の声です。ここが薄いと、指名の問い合わせにつながりません。

物件データの一括管理と自社サイトへの反映

複数のポータルに掲載している会社の多くは、物件管理システム(コンバーターとも呼ばれます)で物件情報を一括入稿しています。自社サイトの物件ページもこのシステムと連動できれば、二重入力を避けられます。連動の可否や費用は仕組みによって異なるので、ホームページを作る前に、システムの提供元と制作会社の両方に確認してください。

連動できない場合は、自社サイトには「おすすめ物件」だけを手動で載せ、全物件はポータルに任せる分担が現実的です。ポータルの掲載料の考え方と自社サイトとの併用は「SUUMOなど不動産ポータルの掲載料の考え方」で解説しています。

役割分担の整理

役割 ポータルサイト 自社ホームページ
物件との出会い 主役 補助(おすすめ物件)
街の情報 限定的 主役(エリアページ)
会社・担当者の信頼 限定的 主役
指名の問い合わせ 起点になる 受け皿
費用 掲載料(プランによって異なる) 制作費・維持費

ポータルの掲載料や条件はプランや地域によって異なるので、各社の公式サイトで確認してください。

よくある質問

物件数が少ない小さな不動産会社でも、ホームページは必要ですか?

必要です。物件数が少ないほど、「この会社に頼む理由」と「この街に詳しい」ことを伝える場所が大切になります。物件検索機能は不要で、おすすめ物件とエリアページ、会社紹介があれば十分に機能します。

エリアページは、いくつ作ればいいですか?

まず、案内する機会が多い駅・エリアを3〜5つに絞って作ります。1つを丁寧に書くほうが、数だけ多い薄いページより効果的です。反響を見ながら増やしてください。

ポータルサイトの物件情報を、そのまま自社サイトにコピーしてもいいですか?

自社が掲載できる物件なら同じ内容を載せること自体は問題ありませんが、写真や文章の権利関係は確認が必要です。また、同じ内容を並べるだけでは価値が生まれないので、担当者のひとことなど独自の情報を加えてください。

まとめ

  • 必要なページは「物件情報・エリア案内・会社紹介・お客様の声・来店予約と問い合わせ」の5つ。役割は「この会社に頼む理由」と「この街に住む理由」を伝えること
  • 物件検索機能は、物件数と更新体制で判断する。少数なら「おすすめ物件」ページで十分。古いデータは逆効果
  • エリアページは「地域名 × 住みやすさ」の検索の受け皿。担当者の視点が最大の差別化になる
  • 問い合わせは「物件について・条件で探す・売却相談・来店予約」に分け、フォームは最小限にする
  • ポータルは出会い、自社サイトは指名。物件管理システムとの連動は、作る前に確認する
  • 物件表示のルールはポータルの入稿基準に沿って書き、詳細は専門家や所管官庁の資料で確認する
この記事を書いた人:坂部 幸成(さかべ ゆきなり)

株式会社Shamoji 代表/店舗向けホームページ制作「HARE PAGE 店舗」運営

Web制作・運営、広告運用代行、SEO・LLMOコンサルティング、AI活用支援を手がける 株式会社Shamoji(2022年設立)の代表。店舗向けホームページ制作・運用サービス「HARE PAGE 店舗」を企画・運営し、飲食店・美容室・サロン・整体院・不動産会社のサイト制作と地域検索の設計を担当しています。記事の内容は執筆時点の一般的な情報であり、各サービスの最新の仕様・料金は公式情報をご確認ください。