訪日客はどうやってお店を探している?

日本人のお客様と違い、訪日客は店名を知らない状態で探します。「近くのラーメン」「sushi near me」のように、現在地と業種でGoogleマップを検索し、写真・評価・口コミを見て決めるのが典型的な流れです。

探し方の特徴

  • 現在地から近い順で見る。駅・宿泊施設・観光地からの距離が重要
  • 写真で「何が食べられるか」「どんな雰囲気か」を判断する
  • 口コミは、自分の言語で書かれたものを優先して読む
  • 「英語メニューあり」「カード可」「予約不要」を判断材料にする
  • 翻訳アプリでメニューや看板を読む人が多い

国や地域によっては、別の地図アプリやSNS、旅行口コミサイトを使う人もいます。それでも共通して見られやすいのはGoogleマップの情報なので、まずここを整えるのが合理的です。

自店がインバウンド対策をすべきかの判断

見るポイント 対策の優先度が高いお店
立地 観光地、主要駅、宿泊施設や空港の近く
すでに来ている外国人客 Googleの口コミに外国語のものがある、月に数組以上来ている
受け入れの余裕 ピーク時間に席や予約枠に余裕がある
業種 飲食、カフェ、小売、美容室、理容室、体験型のサービス

当てはまる項目が少なくても、Googleビジネスプロフィールの英語対応だけは費用がかからないので、やっておいて損はありません。

Googleビジネスプロフィールの英語対応(最優先)

Googleビジネスプロフィールは無料で、訪日客がもっとも見る場所です。管理画面の表記は変わることがあるので、大まかな流れとして読んでください。

手順

  1. 店名は看板どおりにする。英語名を追加したり、キーワードを足したりするのはガイドライン違反になります
  2. カテゴリを正しく選ぶ。「ラーメン店」「居酒屋」「美容院」など業種に最も近いものを選ぶと、英語で検索されたときにも対応するカテゴリで表示されやすくなります
  3. 説明文の後半に、短い英語の説明を添える。例:「Casual ramen shop near the station. English menu available. Cash and credit cards accepted.」
  4. 属性(支払い方法、予約の可否、バリアフリー、テイクアウト等)をできるだけ埋める
  5. 営業時間・定休日・ラストオーダーを正確に入れる。祝日や年末年始は特別営業時間で設定する
  6. メニュー写真に英語表記を含めたものを載せる。写真は言語を問わず伝わる、いちばん強い情報です
  7. 外国語の口コミには、その言語で短く返信する(翻訳ツールで十分です)

写真で伝えること

外観(看板が読める距離で)、入口、店内、代表的なメニューや施術例、メニュー表(英語併記)、支払い方法の掲示を用意します。訪日客は「入口がどれか」「入って大丈夫な店か」を写真で確認するので、外観と入口の写真が特に重要です。撮り方は「Googleビジネスプロフィールの写真」を参考にしてください。

「質問と回答」に英語の想定質問を用意する

「Do you have an English menu?」「Can I pay by credit card?」「Do I need a reservation?」のような質問は、店側で先に質問と回答を登録しておけます。使い方は「質問と回答の使い方」で解説しています。

多言語ホームページは「英語1ページ」から

ホームページ全体を翻訳する必要はありません。まず、英語の基本情報を1ページにまとめた「English」ページを用意します。ブラウザの自動翻訳機能を使う人も多いため、日本語ページの構成が整っていれば、その補完として十分に機能します。

英語ページに載せる要素チェックリスト

  • 店名(ローマ字)と、何のお店かの1文
  • 住所(英語表記:番地、町名、区・市、都道府県、郵便番号の順)
  • 最寄り駅と道順(「Exit 2 of ○○ Station, 3 min walk」のように)
  • 営業時間・定休日・ラストオーダー
  • 料金の目安(「Ramen from ¥1,000」のように代表的なものだけ)
  • 支払い方法(現金のみなら「Cash only」と明記)
  • 予約の要否と方法(ネット予約のリンク、または「Walk-ins welcome」)
  • 英語メニューの有無、写真付きメニュー
  • 席・禁煙・子連れ・ベジタリアン対応など、よく聞かれること
  • お店のルール(席料、お通し、靴を脱ぐ、撮影の可否、チップ不要)
  • Googleマップへのリンク
  • 「Show this to staff」として、日本語の併記(店員に見せる用)

翻訳で気をつけること

機械翻訳を使うこと自体は問題ありません。ただし、固有名詞・料理名・料金・営業時間だけは、人の目で確認してください。「お通し」「席料」「ラストオーダー」「サービス料」など、日本特有の仕組みは、直訳ではなく説明を添えます。

日本語 直訳の問題 説明の例
お通し 「appetizer」だと、注文していないのに請求される理由が伝わらない 「A small appetizer (¥○○) is served and charged per person」
ラストオーダー 閉店時間と混同されやすい 「Last order 21:30, close 22:00」
席料 「seat fee」だけでは意味が伝わりにくい 「Table charge ¥○○ per person」

英語ページを作る時間がない場合は、日本語のアクセスページとメニューページを、写真と数字で分かりやすくするだけでも効果があります。自動翻訳で読まれる前提で、1文を短く書いてください。

決済・予約・店内での案内は「最小限」でいい

情報が整ったら、実際に来店したときに困らない準備をします。すべてを完璧にする必要はなく、できないことは、できないと明記するだけでも印象は大きく変わります。

決済

クレジットカードとタッチ決済に対応していると、訪日客の利用のハードルが下がります。現金のみの場合は、Googleビジネスプロフィール・ホームページ・入口の掲示の3か所で「Cash only」と明記します。決済手段の導入費用や手数料はサービスによって異なるので、最新の条件は各社の公式サイトで確認してください。

予約

電話での英語対応が難しいお店は、ネット予約に一本化するのが現実的です。予約システムの中には英語表示に対応しているものもあり、Googleマップから直接予約できる仕組みと組み合わせると、電話対応なしで予約が受けられます。導入の考え方は「ネット予約を導入するときのポイント」を参考にしてください。

店内の案内

  • 写真付きの英語メニュー(1枚で十分)
  • 指差しで伝えられる案内シート(「アレルギー」「辛さ」「持ち帰り可」「トイレ」など)
  • お店のルールの掲示(靴、撮影、席料、注文の単位)
  • 翻訳アプリを店側のスマホにも入れておく
  • Wi-Fiの有無(あればパスワードを掲示)

業種別の最小限の対応

業種 最小限の準備
飲食店 写真付き英語メニュー、お通し・席料の説明、支払い方法の掲示
カフェ・小売 商品名と価格の英語表記、免税対応の有無の明記
美容室・理容室 英語のカウンセリングシート、メニューと料金の英語表、写真で仕上がりを確認する流れ
整体・リラクゼーション 英語の問診票、施術内容の説明、体調の確認、医療行為ではない旨の明記
体験・教室 所要時間、持ち物、予約方法、当日の流れの英語案内

美容室や整体では、施術前の確認(アレルギー、体調、希望の仕上がり)を英語のシートで済ませると、会話が最小限で済みます。効果を断定する表現は、日本語と同様に英語でも避けてください。

「やる・やらない」を決める判断基準

インバウンド対策は、やろうと思えばきりがありません。個人店では、対応の範囲をあらかじめ決め、「やらないこと」を明記するほうが、お客様にも店にも親切です。

対応レベルの目安

レベル 内容 向いているお店
0 Googleビジネスプロフィールの英語説明と写真のみ 観光地から遠い、外国人客がほぼいない
1 0に加えて、英語の基本情報ページ、英語メニュー 月に数組以上の外国人客がいる
2 1に加えて、ネット予約の英語対応、カード決済、案内シート 駅前・観光地、外国人客が定期的に来る
3 2に加えて、多言語(中国語・韓国語など)対応、旅行口コミサイトへの掲載 観光地の中心、外国人客が主要な客層

「やらないこと」の明記が信頼につながる

「英語の電話予約は受けていない」「団体は受けていない」「現金のみ」といった制約は、隠すより明記したほうが低評価を防げます。体制が整っていないのに対応をうたうと、口コミで「英語が通じなかった」と書かれ、日本人客の判断にも影響します。

効果の見方

  • Googleビジネスプロフィールの表示回数と経路検索の推移
  • 外国語の口コミの数と内容(困った点が書かれていれば改善の材料)
  • 英語ページのアクセス数
  • 実際の来店組数(レジやカルテで簡単に数える)

外国語の口コミには、良いものにも困った内容のものにも、短くていいので返信します。書き方は「Googleの口コミ返信の書き方と例文」の考え方がそのまま使えます。地域によって、訪日客の多い場所や動線は異なります。エリアごとの特徴は「地域別ガイド」も参考にしてください。

よくある質問

英語が話せないと、インバウンド対策は無理ですか?

無理ではありません。訪日客の多くは、写真付きメニューや翻訳アプリでのやり取りに慣れています。会話よりも、Googleマップとホームページに英語の基本情報があること、店内に指差しで伝えられる案内があることのほうが重要です。

中国語や韓国語のページも必要ですか?

まずは英語だけで十分です。実際に来ている外国人客の言語が偏っている場合は、その言語のメニュー1枚から追加してください。ブラウザの自動翻訳で読む人も多いため、日本語ページを短い文で分かりやすく書くことも、多言語対応の一部です。

無料の翻訳ツールで作った英語ページで問題ありませんか?

基本情報のページであれば、問題ないケースがほとんどです。ただし、料金・営業時間・住所・固有名詞は必ず人の目で確認してください。翻訳の誤りが、そのまま来店時のトラブルになる項目です。

外国語の口コミが来たら、どう返信すればいいですか?

その言語で、短く返信します。翻訳ツールで「Thank you for visiting. We hope to see you again.」程度の定型文を用意しておけば十分です。困った点が書かれていた場合は、改善したことを一言添えると、次に読む人への安心材料になります。

まとめ

  • 店舗のインバウンド対策は「Googleマップの英語情報と写真 → 英語の基本情報ページ → 決済・予約・店内案内」の順で最小限に
  • 訪日客は店名を知らずに、現在地と業種で探す。写真・口コミ・「カード可」「英語メニューあり」が判断材料
  • Googleビジネスプロフィールでは、店名は看板どおり、説明文に短い英語、属性と営業時間を正確に、メニュー写真に英語併記
  • 多言語ホームページは英語1ページから。お通し・席料・ラストオーダーは直訳せず説明を添える
  • 決済・予約・店内案内は「できないことを明記する」だけでも印象が変わる
  • 対応レベルを決め、やらないことを明記する。効果は表示回数・外国語口コミ・来店組数で見る
この記事を書いた人:坂部 幸成(さかべ ゆきなり)

株式会社Shamoji 代表/店舗向けホームページ制作「HARE PAGE 店舗」運営

Web制作・運営、広告運用代行、SEO・LLMOコンサルティング、AI活用支援を手がける 株式会社Shamoji(2022年設立)の代表。店舗向けホームページ制作・運用サービス「HARE PAGE 店舗」を企画・運営し、飲食店・美容室・サロン・整体院・不動産会社のサイト制作と地域検索の設計を担当しています。記事の内容は執筆時点の一般的な情報であり、各サービスの最新の仕様・料金は公式情報をご確認ください。