美容室のリピート率とは?計算方法と「見るべき2つの数字」

リピート率は、ひとつの数字で見ようとすると実態が分かりにくくなります。おすすめは、「初回のお客様が2回目に来たか」と「既存のお客様が通い続けているか」を分けて追うことです。

計算式:新規再来率と既存継続率

指標 計算式 何が分かるか
新規再来率 ある月の新規客のうち90日以内に2回目の来店をした人数 ÷ その月の新規客数 初回の体験と、次回のきっかけ作りがうまくいっているか
既存継続率 前年の同じ月に来店した既存客のうち、この1年で1回以上来店した人数 ÷ その人数 常連が静かに離れていないか

例えば、4月の新規客が20人で、7月末までに2回目の来店があったのが8人なら、新規再来率は40%です。数字の大小より、毎月同じ条件で出して推移を見ることが大切です。

目安はどれくらい?「他店の平均」より自店の推移

「美容室のリピート率の平均は何%」といった数字は、調査の方法や対象によって大きく変わります。他店の平均と比べるより、自店の3か月前・6か月前と比べて上がっているかを見るほうが、打ち手につながります。

数字はどこから取るか

予約システムやPOSレジがあれば、顧客ごとの来店履歴から集計できます。紙のカルテでも、月末に「新規客の名前」と「2回目来店の有無」を書き出すだけで十分です。まずは月1回、30分で出せる形から始めてください。

美容室で失客が起きる原因は?「技術に不満」は一部だけ

失客の原因を「腕が足りなかった」と考えると、対策が技術練習だけになってしまいます。実際には、お店の側で防げる理由のほうが多くあります。

初回のお客様が戻らない5つの理由

  1. 仕上がりが「頼んだイメージ」と少しずれた(不満ではないが、わざわざ戻る理由もない)
  2. 会話の距離感が合わなかった(話しすぎ・話さなすぎ)
  3. 料金が最後まで分かりにくかった(追加メニューで想定より高くなった)
  4. 次に来る「きっかけ」がなかった(次回の提案も連絡もない)
  5. 単純に忘れられた(他店のクーポンを見て、そちらへ行った)

1〜3は初回の接客の設計で、4〜5は次回予約と連絡の仕組みで防げます。特に4と5は、多くのお店で手つかずのまま残っています。

クーポン客と「通いたい客」を分けて考える

クーポン目当てのお客様は、次もクーポンのあるお店を探す傾向があります。これは悪いことではなく、「初回が割引だった人」には次回予約と連絡がより重要だ、という意味です。詳しくは「クーポン客がリピートしない理由と対策」で整理しています。

失客に「気づく」仕組みを先に作る

来店周期(前回来店から次の来店までの日数)を顧客ごとに把握し、周期を2週間以上過ぎた人を月1回リストにします。失客は静かに起きるので、気づく仕組みがないと対策の打ちようがありません。

次回予約の勧め方|断られにくい言い回しと、押し売りにならない工夫

次回予約は、リピート率に最も直接効く施策です。ただし「予約を取ってください」とだけ言うと、押し売りに感じられて逆効果になります。ポイントは、施術中に「次回の状態」を先に伝えておくことです。

施術中に「次に必要になる時期」を伝える

カット中やカラーの放置時間に、次のように伝えておきます。

  • 「この長さだと、1か月半くらいで襟足が重く感じてくると思います」
  • 「カラーは根元が伸びてくるのが3〜4週間なので、そのあたりでリタッチすると色持ちがいいです」
  • 「パーマは2か月くらいで取れてくるので、その前に一度スタイリングの調整をすると楽です」

「次回の必要性」をプロの視点で先に共有しておくと、会計時の提案が自然に受け入れられやすくなります。

会計時の言い回し例(3パターン)

場面 言い回しの例
基本形 「先ほどお話しした1か月半後だと、〇月の第2週あたりです。ご希望の曜日はありますか?」
迷っている人に 「仮で押さえておいて、前日までにLINEで変更していただいて大丈夫ですよ」
断られたとき 「かしこまりました。時期が近づいたらLINEでお知らせだけしますね」

「仮で押さえる」「変更は自由」と伝えるのがコツです。予約が縛りに感じられなくなります。

断られたら深追いしない

その場で断られたら、無理に取らないことが大切です。代わりに「連絡してよいか」の同意をもらい、来店周期に合わせたLINEやメールに切り替えます。次回予約は「取れたか」より「次のきっかけを残せたか」で考えてください。

次回予約の特典をつけるときの注意

次回予約者への割引や特典には効果がありますが、割引の額が大きいほど「割引がないと来ない」お客様を増やしてしまいます。金額よりも、「トリートメントをおまけ」「指名料なし」のような体験型の特典が向いています。なお、割引や「通常価格」の表示には景品表示法のルールがあります。一般論としての説明であり、法的助言ではありません。最終的な判断は専門家や消費者庁の資料で確認してください。

来店周期に合わせた連絡|カルテとLINEで「思い出してもらう」

次回予約が取れなかったお客様は、来店周期に合わせた「思い出してもらう」連絡で戻ってきます。ここで必要なのがカルテです。カルテは施術の記録だけでなく、「いつ・何を・どう連絡するか」の材料になります。

カルテに書いておく4項目

  • 来店周期:前回来店からの日数(目安でよい)
  • 施術内容と薬剤:カラーの番号、パーマのロッド、使った薬剤
  • 会話のメモ:お仕事、趣味、次のイベント(結婚式・旅行・面接など)
  • 次回の提案:施術中に伝えた「次に必要なこと」

会話のメモがあると、連絡の文面が「営業」ではなく「気にかけている」文面に変わります。

連絡のタイミング表

タイミング 内容 手段
来店の翌日 お礼と、自宅でのスタイリングのコツ LINE・メール
来店周期の1〜2週間前 「そろそろ根元が気になる頃かと」と空き状況の案内 LINE
周期を2週間過ぎたとき 「その後いかがですか」の一言と、予約リンク LINE
3か月以上空いたとき 季節のメニュー案内(一斉配信でよい) LINE・ハガキ

メッセージの例文

来店周期の1〜2週間前の連絡は、次のような短い文が向いています。

「〇〇様、先日はありがとうございました。前回から1か月ほど経ちましたので、そろそろ根元が気になり始める頃かと思います。来週は水・木の午後に空きがありますので、ご都合が合えばご予約ください。〇〇(担当者名)」

売り込みの言葉を入れず、「状態の予測」と「空き状況」だけを書くのがコツです。LINE公式アカウントの基本的な使い方は「LINE公式アカウントの店舗活用」で解説しています。

自社サイト・LINEでの再来導線|ポータル経由を「直接予約」に変える

新規のお客様がポータル経由で来た場合、2回目以降もポータルから予約されると、掲載の仕組みによってはお店の負担が続きます。ポータルは新規との出会いに強い媒体です。役割を分け、リピートは自社の導線で受けるのが基本の考え方です。

2回目以降の予約を自社導線に移す流れ

  1. 初回の会計時に「次回からはLINEで直接予約できます」と伝え、QRコードを渡す
  2. LINEのリッチメニューに「予約」「メニュー」「アクセス」を置く
  3. ホームページの予約ページを、リッチメニューと同じ飛び先にする
  4. 来店周期の連絡には、必ずその予約リンクを添える

お客様にとっても、ポータルのアプリを開くよりLINEから1タップで予約できるほうが楽です。リッチメニューの設計は「店舗のLINEリッチメニューの作り方」にまとめています。

ホームページに置いておきたい「再来のための情報」

  • スタイリスト紹介(得意なスタイル、人柄が分かる文章と写真)
  • メニューと料金(追加料金の条件まで明記)
  • 予約ボタンとLINE登録ボタン(すべてのページに)
  • お客様の声やスタイル写真(掲載は本人の許可を得たものだけ)

「あの人にまたお願いしたい」と思ったとき、名前で検索してすぐ予約に進めることが再来の後押しになります。地域名で探す新規のお客様に向けた設計は「地域別ガイド」も参考にしてください。

リピート率を上げる取り組みのチェックリスト

項目 状態
新規再来率と既存継続率を月1回出している
施術中に「次に必要になる時期」を伝えている
会計時の次回予約の言い回しがスタッフ間で決まっている
カルテに来店周期・会話メモ・次回提案を書いている
来店周期の1〜2週間前に連絡が飛ぶ仕組みがある
LINEとホームページから直接予約できる
周期を過ぎたお客様のリストを月1回見ている

全部を一度にやる必要はありません。「次回予約の言い回し」と「周期前の連絡」の2つは、始めやすく効果も追いやすいので、ここから手を付けるのがおすすめです。

よくある質問

美容室のリピート率はどれくらいあれば良いですか?

業界平均として出回る数字は調査によって幅があるため、鵜呑みにしないほうが安全です。自店の「新規再来率」と「既存継続率」を毎月同じ条件で出し、3か月前より上がっているかで判断してください。

次回予約を断られたらどうすればいいですか?

その場で深追いせず、「時期が近づいたらLINEでお知らせします」と伝えて連絡の同意をもらいます。来店周期の1〜2週間前に、状態の予測と空き状況を短く送るのが有効です。

LINEで連絡すると迷惑に思われませんか?

売り込みではなく、「そろそろ根元が気になる頃」という状態の予測と空き状況だけを周期に合わせて1通送る形なら、受け取られ方は大きく変わります。頻度は月1〜2通までが目安です。

次回予約の割引はやったほうがいいですか?

効果はありますが、割引が大きいほど「割引がないと来ない」お客様が増えます。金額の割引より、トリートメントのおまけなど体験型の特典のほうが、通う習慣につながりやすいです。

まとめ

  • 美容室のリピート率は「新規再来率」と「既存継続率」に分けて、月1回同じ条件で見る
  • 失客の原因は技術より「次のきっかけがない」「忘れられた」が多い。気づく仕組みを先に作る
  • 次回予約は、施術中に「次に必要な時期」を伝えてから、会計時に「仮で押さえる」提案をする
  • カルテに来店周期・会話メモ・次回提案を残し、周期の1〜2週間前にLINEで連絡する
  • 2回目以降の予約は、LINEのリッチメニューとホームページの予約ページで直接受ける
  • 割引より体験型の特典。連絡は「状態の予測+空き状況」だけを短く
この記事を書いた人:坂部 幸成(さかべ ゆきなり)

株式会社Shamoji 代表/店舗向けホームページ制作「HARE PAGE 店舗」運営

Web制作・運営、広告運用代行、SEO・LLMOコンサルティング、AI活用支援を手がける 株式会社Shamoji(2022年設立)の代表。店舗向けホームページ制作・運用サービス「HARE PAGE 店舗」を企画・運営し、飲食店・美容室・サロン・整体院・不動産会社のサイト制作と地域検索の設計を担当しています。記事の内容は執筆時点の一般的な情報であり、各サービスの最新の仕様・料金は公式情報をご確認ください。